古ギター再生の試み

楽器についていろいろ
Whooper
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登録日時COLON 木 7 2 2008, 23:08
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古ギター再生の試み

投稿記事 by Whooper » 日 19 10 2008, 06:59

皆さんこんにちわ

半世紀以上経た古いギター(河野賢氏1956年製作品)を再生する試みを始めました。と言っても作業するのは私ではありません。パートナーがいます。

事の経緯はこれまで英語版で日本人製作者、俣野、田村、河野、矢入等古い人達です、が話題に上がると知っている範囲で投稿して来ました。

ある日アメリカの見知らぬ会員から私信を貰いました。70年代に矢入が北米向けに輸出していたモデルに貼ってあるラベルを判読して欲しいとの事です。最高級とは行かないが上位モデルなので薦めると彼はそれを中古業者から手頃な価格で購入し手直しを始めました。

彼は中国人で若い頃イギリスに渡り木工と写真を修行して今はアメリカ東岸に在住しデジタル・アートと木工で生計を立てています。日本にも来た事があるし年もほぼ同じなので気が合いその後文通を続けています。

先日久方ぶりにメールが来て Madam Yairi は順調に仕上がってる、と知らせてくれました。その時丁度ヤフーのオークションに古河野が出ていて「ひょっとしてChengなら直せるかな。。。」と思い「こんなの出てるがどうだろう、興味ある?」と書いたら「そうだな、取り敢えずURL教えてくれ、俺も見てみる」との返事。

現物の状態は画像で見る限りはボロボロで塗装の表面は粉吹いてるしペグも珍妙なのが単体で付いてる。フレットはよくぞここまでと思うほど深く溝が切れてます。指盤もすこし掘れてますが全体に致命傷はなさそうです。普通の人が見たら粗大ゴミか焼き芋の燃料としか見えません。プロが弾き込んでその後お蔵入りになっていたそうです。

暫くして彼が専門家の目から見た的確な評価をしてくれました。要は「現状の見てくれは関係ない。本物のプロが丹念に作ったもので致命傷が無ければ修復は可能と思う。例え良い音は出なくとも君は古い河野を使ってるから日本ギター製作史上意味があると思うな。これは遣り甲斐のある仕事になりそうだ。送料負担してくれるならただでやって見る。」との有難い返事です。

彼の後押しで心が定まりオークションへ本気で乗り込みました。三千円から始まり30回を越える応酬の末私が最後に四万五千円で落としました。この件は嫁さんに話すと激怒するからまだ言ってません。やがて現物が届いたら「これ何ですか?」と詰問されるのは目に見えてるから8月にG8の件で北海道へ出稼ぎに行った上がりを充てようと思います。

落札の件はChengも喜んでくれ「物手に入れたら詳しい画像送れ」との事。但し彼は故郷のアジアを目指し年末にアメリカを離れマレーシアに移住する段取りを進めていますから実作業は彼が落ち着いてからになりそうです。

本来なら河野先代の後継者で私の7号を若返らせて頂いた桜井師匠にお願いするのが筋なのでしょうが私はこのフォーラムを通して知り合いになれた会った事もないギター仲間の方を選びました。

これは息の長いプロジェクトになりそうですが別に急ぐ訳でなし、物好きの道楽として「将来の楽しみ」に取っておきましょう。この場をお借りしてこれから時折進み具合をお知らせ致します。ご高見等宜しくお願い致します。

Whooper 拝

Whooper
記事COLON 288
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Madam Torako

投稿記事 by Whooper » 月 27 10 2008, 13:36

こんにちわ。支払いを済ませ現物を手に入れましたのでご紹介しますね。

まず掃除して手に持ってみると非常に軽いです。半世紀を経て干からびたのかも知れません。それと7号と比べるとネックがとても薄く感じます。測ってみると7号は2.5センチ、こちらは2.0センチでした。弦長も665ミリに対して650ミリ。華奢に感じます。ラベル銘は河野先代が60年代前半位まで使っていたKONOとなっています。
1s.jpg
表は多分杉系ですね。胴と裏は綺麗な虎目です。多分メープルかな。穴から手を入れて中を探ってみると裏板に力木が三本横に入ってます。表も三本で広い胴の裏には7本放射状に付けてあります。
7s.jpg
8s.jpg
見た限りでは致命傷はありません。一箇所胴と裏板を接着剤で固めた跡があります。相当弾き込まれたと見え、下のフレットには指形が刻印されてます。珍しいことにナットの隣にフレット0番があります。こんなの見たことありませんね。
10s.jpg
弦はまだ張ってません。パートナーのjebejava 氏に画像を送ったら、50-60年代は棹が短くてフレットの薄いサイズが主流だったが、その後ラミレスの影響を受けて大型化した。フレット0も当時は標準だったと取り敢えず教えてくれました。この子は Madam Torako と名付けました。

なお彼は自分の Madam Yairi を次のスレッドで紹介してます。

http://www.classicalguitardelcamp.com/v ... ilit=yairi

さて次回はどうなるかな?
Whooper 拝

remain-iihama
記事COLON 324
登録日時COLON 火 28 3 2006, 20:06
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Re: 古ギター再生の試み

投稿記事 by remain-iihama » 月 27 10 2008, 14:29

 私見にて申し訳ないですが
 ちょっと見た限りでは、大きな欠陥は無さそうですが、乾ききっていそうですので、そこが心配です。
 指版は削れば平らになりますが、フレットは新しいのに取り替えたほうが良さそうですね。
 ネックの薄さを考えると指版も張替えがいいかも。
 ナットとサドルも弦高に合わせて取替えかな。
 ペグの状態は分かりませんがこの年代のものでしたら大抵は取り替えた方が早いですね。
 塗装は磨きなおせばよさそうですが、力木の接着状態が少し心配です。
 長年の乾燥後に適正湿度にもどすと、剥がれ易くなるようですので。
 以上、勝手な事書きましたがこ容赦くださいね。

 裏板の模様は細かくて綺麗ですね。Madam Torakoさんの復活の日を楽しみにしています。

Whooper
記事COLON 288
登録日時COLON 木 7 2 2008, 23:08
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Re: 古ギター再生の試み

投稿記事 by Whooper » 月 3 11 2008, 17:40

虎子のその後をご紹介しますね。

Chee に細部の詳しい画像を送って意見を求めたらプロらしい的確なアドバイスをしてくれました。トップは7号と同じ杉系と信じてたのですが松系との事。当時はトップが松で胴とバックがメープル(カエデ)が標準と教えてくれました。カエデでも虎子は Curly と呼ばれる材質だそうです。フレット0も当時は標準でした。今高級品はトップが松で胴と裏はハカランダですよね。

虎子は言わば河野先代が暗中模索されてた習作時代の一品。7号は世界的に認められた数年後の作。同じ製作者の作でも、手に取れば匠の技、時の流れ、楽器の円熟味、それに引き換え己の不甲斐無さを感じます。

Chee によると虎子は強度的にも問題なさそうだから歌わせて見ようかとなって弦を張りました。相性が分からないので長年愛用の仏・米ペア、上三弦はサバレスの赤、下三弦はセゴビア大明神が睨みを効かすオーガスチンの黒です。二日程かけて張力を上げました。音は古楽器と言うか、ラコートと言うかトンネル状態です。けれどもフレット間の音程は極めて確かです。

まずスケールやコードを色々やって馴染ませる。50年経た楽器とは思えないほど音はぴったり合います。変な共鳴、ウルフ・トーンって言うのかな、は感じられない。但し裏板の所々剥がれてるので弾き方によっては時折ウルフと言うかビビリ・バビリのライオン・トーンがしたりもします。

虎子の歌、恥ずかしながらお披露目しますね。ここにはMP3貼れないので「私達のMP3」コーナーをご覧下さい。

それでは又
Whooper 拝

Whooper
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フレットと指盤を磨く。

投稿記事 by Whooper » 金 7 11 2008, 09:45

河野虎子の若返りプロジェクトです。今回は虫歯治療かな。

虎子に弦を張って鳴らして見たらまだ歌えるのが分かりましたので次に自分できる事をしてみました。フレットと指盤を磨きました。フレットは大抵真鍮で作られており長くほっておくと黒ずむのを体験して来ました。驚いたことに虎子のは銅金(あかがね)と化し半ば緑青が吹いてます。銅メッキしてあるのか銅合金なのかな。
F3.jpg
こんな状態で弾くのは健康に悪いです。本来ならフレット抜いて表面を削るか、指盤自体を変えるべきなんでしょうが、それは専門家に任せるとして液状の金属磨きでフレット毎に擦りましたよ。指盤も長年の埃や浮き出してきた木の成分が固まって付着し水で拭いた位では綺麗になりません。フレットもそうとうホゲてます。
F2.jpg
慎重に作業する事四時間あまり。何とか往年の輝きが戻りました。けれど今日も寝不足だな。
F6.jpg
さてこの次は一度故郷の「河野工房」に里帰りさせて父親の跡を継いだ大叔父さんの桜井師匠に見てもらおうかな。

それでは又
Whooper 拝

Whooper
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虎子の里帰り

投稿記事 by Whooper » 水 12 11 2008, 09:04

私達の借家も立ち退き、御取り潰しになるとは非常に残念ですね。

恐らく虎子の復活もお見せ出来ないでしょう。それでもお伝えできる
限りご紹介しますね。

河野工房の桜井師匠にメール書いて虎子の健康診断を依頼した所
快く引き受けて下さいましたので近々虎子を里帰りさせます。

ご一報まで
Whooper 拝

syu
記事COLON 44
登録日時COLON 日 30 12 2007, 11:11

Re: 古ギター再生の試み

投稿記事 by syu » 水 12 11 2008, 22:10

長屋がおとり潰しになっても、虎子さんの成長を是非お聞かせください!聴きたいな…
「フレット」本当に綺麗になりましたね。私の古ギター(国内量産型)は緑色(緑青か?でも銅ではないはず。どーでもいいか)です。
mp3には、お返事しませんでしたが、さすが良い音(河野師匠)奏(だ)してますね。
里帰りから、帰郷されたときの音を聴いてみたいです。

Whooper
記事COLON 288
登録日時COLON 木 7 2 2008, 23:08
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Re: 古ギター再生の試み

投稿記事 by Whooper » 木 13 11 2008, 09:20

Syu さん

お言葉ありがとうございます。虎子は皆さんに見守って頂き本当に幸せな子です。これからもご紹介したいものです。
私の古ギター(国内量産型)は緑色(緑青か?でも銅ではないはず。どーでもいいか)です。
ぼ、ぼ、ぼ、ぼくには い、い、い、いったい な、な、な、なにが何だか分からないんだな。ど、ど、どーしたんですか? :lol:
(裸の大将風)

実は私は寅年生まれ、それも強の虎、一人娘も小虎。でも兎に近い弱虎なんですね。虎子が家族に加わりまともに歌えるようになれば虎ファミリーの結束が強まるかな?娘はピアノ弾けますがギターには興味ありません。一時バンド組んでエレベすると言ってましたが流行性感冒でした。

それでは御礼まで :D
Whooper 拝
P.S. 生まれも育ちも浪花ですが阪神ファン(狂虎)ではありません。